「御堂筋ほこみちユニットベンチ プロジェクト」は、豊かな道路空間づくりを目標に、このエリアに相応しい滞留区間のかたちを求めて、社会実験「御堂筋チャレンジ(2021-2024年)」にて、ベンチの形態や配置・素材を試行しながら滞在や利用の効果を検証し、その検証結果を反映したベンチです。
そのベンチが、2025グッドデザイン賞を受賞しました。
※トップ画像(写真:GK設計様 ご提供)
◆ほこみちユニットベンチ プロジェクトについて
ミナミ御堂筋では、まちを歩く国内外観光客や市民のニーズを探る多様な社会実験が行われる中、依然として道路上へのベンチ常設は、高いハードルでした。
そこで、常設に関わる諸問題を市・道路協力団体・デザイナーが共同で解析・検証し、製作したものが「御堂筋ほこみちユニットベンチ」です。
ゆったり座れる滞留空間が、御堂筋という道路上に誕生しました。
【背景】
大阪市のメインストリートである御堂筋では、「世界最新モデルとなる、人中心のストリートへ」をビジョンに掲げ、歩道を拡幅する道路空間再編を進めています。
また、歩行者が安心して快適に滞在できる空間の実現に向けて、道路協力団体制度を活用し、地域・民間団体と連携して清掃活動や花壇整備など継続的な道路空間の管理・高質化にも取り組んでいます。
従来の道路空間は安全確保を優先する必要があったため、ストリートファニチャーの設置には制約が多く、ベンチもまた、移動の延長線上にある休憩施設としての性格が強く残っていました。
こうした中、御堂筋は歩行者利便増進道路(ほこみち)に指定され、マルシェやアート展示などの柔軟な空間活用が可能となり、そこに設置するベンチにも、【単なる休憩施設】ではなく、【滞在や偶発的な交流のきっかけを生み出し、多様な人々にとって賑わいを創出する装置】としての機能が求められてきていました。
【経緯と成果】
ベンチの常設化による豊かな道路空間づくりを目標に、2021~2024年の社会実験「御堂筋チャレンジ」において、このエリアに相応しい滞留区間のかたちとは何か?をリサーチすべく、ベンチの形態や配置、素材を複数回にわたって試行し、滞在や利用の効果を検証しました。
検証から、配置では「通行を阻害せず整流を促す」や「スケートボードの被害軽減」という繁華街の道路ならではの課題への最適解が判明し、最終的な配置案にも反映することができました。
また、維持管理では、市と道路協力団体が連携して管理するスキームを確立し、大阪市が道路付属物となるベンチ本体を、道路協力団体が占用物件となる木質座面や植栽枡、広告枠を管理することとしました。
なお木材は、熱・樹脂含浸処理によって高耐久化させた国産ヒノキ材を使用し、退色や変形を抑えることで美観を維持する実証実験も行いました。
その結果、木の優しい風合いにより座り心地や意匠性が向上し、また社会実験中には、沿道店舗の売上向上という効果も見られました。
官民の連携である「ほこみちユニットベンチプロジェクト」が、御堂筋上での常設ベンチの実装を実現しました。
【デザインのポイント】
①官=道路付属物、民=占用物件、と管理分離できる部材構成や運用スキームで、常設ながら高質なベンチを実現
②組合わせ次第で様々な拡張性を持つ台形や菱形の本体・三角形のパーツによって、多様な配置や座り方が可能
③人流を考慮した配置・街に調和する色彩・耐候性と風合いのある素材で、人々が集う美しい道路景観を創造
◆グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
御堂筋の「車から人へ」の転換は、大阪市民に「歩いて楽しい街とはこういうことか」を分かりやすく伝え、実感するすばらしい取り組みだ。しかしながら、取り組みは時間が掛かる。様々な実証実験と並行して工事が行われ、周囲の街も変化してゆく。その変化に丁寧に対応するベンチだという。御堂筋にとって最適解であろう。小さな取り組みではあるが、御堂筋の変化をしっかりと支えている。市民の要望に、スマートに応えているデザインだ。
詳細は以下にてご覧いただけます。
◆グッドデザイン賞 受賞ギャラリー
ストリートファニチャー 御堂筋ほこみちユニットベンチプロジェクト
◆レターズアルパック252号(2026年1月号)
御堂筋の高質な道路景観づくりと 維持管理・エリアマネジメント


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